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Stardust Story

「好きやで。ーーいや、愛しとるよ」

真っ直ぐに俺を見て笑うアントーニョの後ろで、星が一つ流れ落ちた。

「な、なん、で……」
「言いたいときに伝えるべきやん、こういうことは。色男のくせに野暮やなぁ」

笑顔を崩さず、おいで、とばかりに両手を広げている。


なんでだよ?
いつも俺に振り回されて、ひでぇ目にあって、謝られることなんてほとんどなくて、あぁ、他にもーー


「綺麗なお星さま見てたら、言いたくなってん。なんや、親分のことが信じられへんの?俺は、ロヴィが思うてる以上に、ロヴィのこと愛しとるよ」


なんだよ、それ。
そんなわけ、ないだろーー


「まぁちょっと頼りないかもしれへんけど、これからもずっとロヴィのこと守りたい」


黙ったまま、身動きすらしない俺に焦れたのか、伸びてきた右手が、俺の腕をとらえる。

「せやからな、お願いやから、どこにもいかんとって。俺のそばにおって」

引き寄せられ、日焼けした腕のなかに閉じ込められる。


「俺がどこかに行ったっきりになったことが、これまでにあったかよ」


なんとか絞り出した言葉は、皮肉げな響きになってしまった。


「どこにも行かねぇよ。そばにいさせろ」


それを言うのが精一杯。

弟のような可愛いげはないけど、でも、俺だって、お前に負けないくらいの想いをもってるんだよ。


「ありがとう、ロヴィ」


笑い声が髪の毛を、耳を柔らかくくすぐる。


あぁ、俺だって



「     」



音にできならなかったはずなのに、アントーニョの笑みがさらに深くなったーー気がした。

<END>

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