sss02
現代っぽいお話(故に、人名表記です)
親分が子分大好き(Like寄りの好き)
親分の扱いが酷い。
それでもOKな方だけスクロールしてください。
ここは、ルートヴィッヒの働くスーパーマーケットです。
「ルート、ルートぉ、遊びに来たよ~」
「ん。あぁ……」
「ヴェ?」
「……(おかしいですね。いつもなら「職場は遊ぶ場所ではない」と一喝する場面ですのに)」
エプロン姿のルートヴィッヒは、やれやれと言うように首を振り、後ろの棚を振り返ります。
「どうしたんです?妙に疲れているような……」
「あぁ。最近この棚がちょっとおかしくてな」
「この棚って、ワインの?」
「普通に見えますが」
「今はな」
「どういうこと?」
「なぜか知らんが、この棚のワインの配置が、いつの間にか変わってしまうんだ」
「それは……確かに奇妙ですね」
「だろ?だが、いったい誰がやっているのかはわからない」
「でも、配置が変わっているだけでしょう?あまり害はなさそうですけど」
「そうだが、気持ち悪いんだ……」
「……なるほど」
「そんなの簡単じゃない」
「なに?」
「というと?」
「張り込んで、犯人を見つけ出すのであります!」
もちろん二人は反対しましたが、珍しくフェリシアーノの意志が固かったため、説得しきれませんでした。
そんなわけで、張り込み開始です。
「ヴェ~。今のところ普通のお客さんだけだねぇ」
「というか、一番怪しいのって俺たちじゃあ……」
「それを言ったら負けですよ」
確かに、店の隅からワインの棚をこそこそ見つづける男三人組なんて、怪しいことこのうえありません。
しかし、張り込みは続行されます。
「あれは……アントーニョ?」
「そうですね。買い物でしょうか」
「そういえばあいつ、昨日も来ていたような……」
「あぁもう。まーた戻されとるわぁ……。俺のとこのワインは、絶対にロヴィんとこのの隣やないとあかんねんて!(ワイン、移動)」
「「「?!」」」
「フランシスんちのは……俺はさんでなるべく遠くに置いとこかな。(フランス産ワイン、棚の端へ)
あー、ルートのとこは……フェリちゃんは仲良しやけど、ロヴィは苦手っぽいからなぁ、どないしよ……。
あ、そや!本田んとこのんに間入ってもろたらええんや!俺、頭えぇなぁ(さらにワイン移動)」
唖然とする三人が見ているのに気づくことなく、アントーニョは「あぁでもない、こうでもない」とワインの配置を変え続けました。
そして――
「よし、こんなもんやろ!いやぁ、今日もえぇ仕事したわ☆」
「……あ、兄ちゃん?あのね、今すぐ駅前のスーパーに来てほしいんだ。
えー、面倒だとか言わないでぇ……。うん、兄ちゃんに、ぜひ持って帰ってほしいものがあるんだ」
「フェリシアーノくん……(強硬手段に出ましたね)」
<END>
+おまけ+
「あれ、ロヴィ?どしたん??」
「勝手に変えてんじゃねぇ!!」
「えっ?!え、えーと……何のこと?」
「とぼけてんじゃねぇよ。くだらねぇことするな!」
「でも、ロヴィとフランシスが隣同士とか、我慢できへんもん!」
「だとしてもだな――」
「あー、悪いが、痴話喧嘩なら外でやってくれ(やれやれ)」
<あとがき>
えぇと……
私は親分大好きですよ!
大好きなんだけど、扱い方を間違っているように思えて仕方ありません。。
相方とのメールで生まれたお話でした。