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クリスマスの報告。

「よぉ、本田。お前、今年のクリスマスは俺様の誘いを断ってまで何してたんだ?」

月曜日、出社するなり私はギルベルトくんに絡まれる羽目になりました。
……そんなに根に持っているんですか、この人。

今年のクリスマスは23日から25日まで3連休という、奇跡的なカレンダーの並びでした。
そのため、やれクリスマスパーティがしたいだの、騒ぎたいだの、お誘いはたくさん受けていたわけですが……私は全て断りました。
というのも全ては――

「大切な人と過ごしていましたよ」


<24日>
「フェリシアーノくん! ケーキ、出来ていますか?」
行きつけの喫茶店に顔を出すと、兄の方が出迎えてくれました。

「フェリシアーノなら厨房だ」
「そうですか。で、ケーキ――」
「うっせぇな、ちくしょう。黙って待ってろ」
「菊~、いらっしゃいー」

シンプルな白い箱に赤と緑のリボンがかけられたものを手にしたフェリシアーノくんに、座りかけた私は立ち上がりました。
隣でロヴィーノくんが「普段の落ち着きどこに行ったんだよ」とかぼやいているのは耳に入りませんよ。
えぇ、もちろん。

「頼まれていたケーキ、これだよ~」
「ありがとうございます!」

ケーキボックスを受け取った私は、もうお家に帰るだけです。
そのほかの料理はすでに準備済みですからね!

「ところで、菊。菊は毎年クリスマスに俺たちのところでホールケーキ買ってくれるよね」
「えぇ、フェリシアーノくん達のケーキは美味しいですから」
「あぁうん、ありがとう。でね、いつも思うんだけど、ホールケーキ、食べ切れてるの?」
「といいますと?」
「えぇと、ほら、菊って、恋人がいるとかそういう話聞かないし、毎年不思議で――」
「あぁ、そういうことですか」

そういえば、彼らにはちゃんと話していませんでしたね。

「家でちゃんと嫁が待っていますので」

「え……」
「「えぇぇぇぇぇぇ?!?!?!!?」」


<菊の自宅>
「おや、今年のケーキはブッシュドノエルですか。美味しそうですね」

箱を開けて笑う私の傍らで、嫁たちもにこにこ笑顔です。

「料理は昨日から仕込んでおきました。チキン、とりわけますね」

いやぁほんと、大好きな嫁たちに囲まれるクリスマスって素敵ですよね。

「あ。雪ですね。今年はホワイトクリスマスですか」

ふふ。
外でいちゃいちゃしてるリア充ども。

ざまぁみろ。



………
……


「お前、彼女とかいたっけ?」
「嫁たちが居ますが?」
「は?!」

はて、私、変なこといいましたっけ?


<おまけ>

「そういうギルベルトくんはどうだったんですか? まさか、お独り――」
「ちげぇよ! ルッツはフェリちゃん家に呼ばれちまったから仕方なくローデとエリザとだな――」
「ちょ、三角関係ktkr!! え、それは結局どんな感じになったんです? クリスマスの夜の奇跡は、どういう組み合わせを選んだんでしょうか。あ、まさかの3―――」

ゴスッ!!!

「本田、始業時間だ」


(……終われ)

<END>

<あとがき>
ルッツが居ないとオチなかったよ(笑)
とりあえず、菊ちゃんに自重って言葉を覚えさせるべきでしたが、反省も後悔もしていない!
大丈夫、私もだいたい菊ちゃんと同じ過ごし方だったもん。。

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